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心にしみる一言（123）　日本海を青森から山口までの海を見たが、ここが一番きれい

◇一言◇
　日本海を青森から山口までの海を見たが、ここが一番きれい

◇本文◇
　個人的な体験もあって、取り上げた言葉はとても印象に残っている。聞いた日もはっきりしている。１９９５年８月９日だった。
　京都府宮津市の天橋立から自転車で、丹後半島を約７０キロ走ることにした。舟屋で知られる伊根までは快調だった。そこから登りの坂道になったが、急に気力がなくなった。熱中症だった。
　残り４５キロ。当時の自動販売機の飲み物の人気は缶入りウーロン茶で、それを１１本を飲んだ追いつかなかった。後から分かったのだが、その年の１番暑い日にあたっていた。
　ヨロヨロしながら惰性で走り、あまりの暑さに京丹後市の小さな久僧海水浴場に寄った。そこで駐車場係をしている男性から聞いたのが、上記の言葉だった。
　彼は東京の画家で、海外でも展覧会を開いていた。日本海を見て周り、久僧が１番きれいだと感じたといい、１カ月もそこに留まり、アルバイトで駐車場係をしていた。その自由さにうらやましさを覚えながら、海に入った。
　確かに水は透き通っていた。軽く泳ぎながら、背の立たない海底を見る。さざ波に太陽が当たってできる網目模様が、海底に写っていた。
　久僧海水浴場での休憩で息を吹き返し、やっとのことでその日のホテルに着いた。夕食は外に飲みに行くことにした。フロントでに名物を聞き、白イカを教えられた。居酒屋で白イカをあてにビールを飲んだ。ただし昼間のウーロン茶が口の中に残っていて、白イカを食べても、ビールを飲んでも、すべてウーロン茶の味だった。強烈な体験だったので、日付のあるメモがパソコンに残っている。（梶川伸）2017.08.31

更新日時　2017/08/31

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