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心にしみる一言(117) バックは海、前は浜、大勢の観客。それに、地の酒の口当たりがよくて、早く飲める

◇一言◇
 バックは海、前は浜、大勢の観客。それに、地の酒の口当たりがよくて、早く飲める

◇本文◇
 大阪・ミナミの居酒屋で出会った片渕梁さんは、高知県・赤岡のどろめ祭りで2年連続優勝した猛者(もさ)だった。1升の日本酒の早飲み大会で、12秒3の記録を持つというので驚いた。
 どろめ祭りは、毎年4月に開かれる。どろめとは、イワシの子で、祭りはその豊漁を祈る。祭りの呼び物が、大杯飲み干し大会。男性は、大きな杯に注がれた1升の酒を飲む。タイムのほか、飲みっぷり、こぼれ具合、飲んだ後の様子も加味して、優勝者を決める。 高知出身の先代社長に連れられて、1994年にどろめ祭りを見に行った。「来年は大会に出よう」と約束した。ところが、先代社長はその年に入院、翌年亡くなった。約束は果たせなかった。そこで96年に、「弔い合戦」のつもりで挑んだ。
 「2位とは3秒ほどの差があったと思う」というほど、ぶっちぎりの強さで、酒好きの高知の「いごっそう」が、「恐れ入りましたキニ」と舌を巻いたらしい。飲みおわった後の感想が、取り上げた言葉だった。
 97年に、2度目の挑をし、2位に大差をつけて優勝したが、記録は14秒86に落ちた。2連覇によって、名はますます上がった。何十人もが「オンシャ、もう高知人やキニ」と、酒を勧めたそうだ。(梶川伸)2017.08.07

更新日時 2017/08/07


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