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心にしみる一言(116) カラオケの特許を取っていれば100億円、とよく言われる。悔しいでしょう、とも言われる。しかし、特許を思いつかんかっんやから 

◇一言◇
 カラオケの特許を取っていれば100億円、とよく言われる。悔しいでしょう、とも言われる。しかし、特許を思いつかんかっんやから

◇本文◇
 カラオケの発明者、井上大佑さんが米国ハーバード大学でイグ・ノーベル賞を受けた後、インタビューをしたことがある。イグ・ノーベル賞は直訳すると、「愚かなノーベル賞」となる。「まあ、ゆうたら、ういやつじゃ、というような意味があるらしい」と井上さん。受賞理由について、賞の担当者は言ったそうだ。「日本商社の武器は、名刺とカラオケ。言葉が分からなくても、日本料理の店でカラオケやりましょうか、と言ったら、それだけでいい」
 井上さんはサラリーマンをしながら、夜は神戸のキャバレーでドラムをたたいた。伴奏のため、キーボードもマスターした。1968年が大きな転機だった。カーステレオにヒントを得て、デッキとミュージックテープのカセットをセットにして、有線放送の入っていない店に貸し出した。「私1人やったら、1つの店でしか伴奏できん。機械やったら、たくさんの店で稼げる」。そんな発想から、カラオケの機械ができた。
 1つのカセットには、4曲入っていた。どの曲を頼んでも、5秒以内に頭出しができる工夫をした。「いらちの大阪人」の特性に合うようにしたのも、成功の一因だった。最盛期には全国40万軒に置いていた。
 実は、カラオケの特許を取っていない。そして、取り上げた一言に続く。ただ、実用新案を取ったものがある。歌詞カードを入れるビニールのケースがそう。そのうえで、「どないしたら金になるかわからんかった」と言うので、どこかユーモラスで、イグ・ノーベル賞受賞者にふさわしい言葉に思えた。(梶川伸)2017.07.29

更新日時 2017/07/29


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