心にしみる一言(115) 熱が高くて料理を食べられず、残念だった。 病院にも行った。夜中も苦しかった。 苦しいけれど、絵本作りは頑張った。
◇一言◇
熱が高くて料理を食べられず、残念だった。病院にも行った。夜中も苦しかった。苦しいけれど、絵本作りは頑張った。
◇本文◇
全国から32人の小学6年生が仙台市の秋保温泉で合宿し、童話の絵本を作ろ催しを毎日新聞企画した。2014年のことで、仙台市を選んだのは、東日本大震災か3年ということを意識してのことだった。私は記録係として同行した。
子どもたちは4つのグループに分かれて共同生活をしながら、グループごとに童話づくりに取り組んだ。俳句づくりも体験し、被災の話を聞き、観光もした。知らない者同士がぎくしゃくしながらも打ち解け合い、指導の先生や大学生の助けを借りながら、一から童話のストーリーと絵を考え、4日目には4冊の童話の本ができ上った。
5日目に閉会式があり、子どもたちは「私たちの思い出」と題した。宣言文を読み上げた。宣言文づくりを少し手伝った。といっても、読み上げる代表者の思い出を聞き出し、それを並べただけだった。1つの目的を持った4日間は、内容の濃いものだった。
●私たちの思い出
ここに来るまで不安だった。
でも、グループリーダーがいっぱい話しかけてくれた。
松島めぐりで友だちができた。
その自然に心がなごんだ。
いろいろな島があった。地元は海がないので、勉強になった。
遊覧船で東日本大震災の話を聞いた。
震災は島の形を変えたことを知った。
俳句づくりは心配だった。でも、いい句ができた……と思う。
ホテルの料理は全部良かった。
2日目の昼ご飯のホタテがおいしかった。家族全員が好きな料理だった。
エビチリが辛くて、お母さんが作るキムチを思い出した。
お土産の種類の多さに驚いた。
熱が高くて料理を食べられず、残念だった。
病院にも行った。夜中も苦しかった。
苦しいけれど、絵本作りは頑張った。
登場人物の名前を考えるのが楽しかった。
遊んでいる子がいて、腹が立った。
絵を描くのが苦手だった。でも、アドバイスをしてくれる仲間がいた。
文を書くのが遅くなったのに、みんなが待ってくれた。
絵を乾かすのを、みんながあおいで手伝ってくれた。
みんなが意見を出し合って、本屋では売っていない、世界で1つの本ができた。
うれしかった。
子ども童話体験交流に集まった32人には、この10倍も20倍もの思い出ができた。
宮城県にありがとう。
私たちを助けてくれた大人にありがとう。
出会った友達にありがとう。
思い出にありがとう。
みんなで一緒に、「ありがとうございました」を言いましょう。
せえの~
ありがとうございました。
(梶川伸)2017.07.22
更新日時 2017/07/22