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寺花ものがたり(111) 正暦寺(奈良市)狐の剃刀=8月上旬~中旬

2004年8月16日撮影

 奈良市の正暦寺は、秋の紅葉が有名だ。山に入った場所にあり、バス停から30~40分の参道を歩く。道は細く、シーズンに車で行くと、大渋滞に巻き込まれる恐れがある。
 平安時代の創建当時は、堂塔・伽藍(がらん)を中心に86坊の塔頭(たっちゅう)を誇った。今はわずかな建物しかない。その上を紅葉の葉が覆い、あたり全体が赤く染まる。
秋以外の時期では、早春に訪ね、ポツポツと咲く福寿草の写真を取ったことがあった=寺の花ものがたり(41)。では夏はどうか。
 夏はどこも花は少ない。正暦寺も同様だった。鐘楼に登っていく短い坂に、狐(きつね)の剃刀(かみそり)があるぐらいだった。ただ、赤みがったオレンジ色なので、数は多くはなくても、かなり目立つ。
 ヒガンバナと同じ仲間(リコリス属)で葉はなく、茎から直接、数輪の花を咲かせる。しかし、土から顔をのぞかせる時は葉だけが伸びる。その葉が細長く、剃刀に見立てたところから、この名がある。なぜ狐かははっきりしないようだが、狐が住んでいるような場所に生えるから、という説が有力らしい。

◇正暦寺(しょうりゃくじ)◇
 奈良市菩提山町157。0742-62-9569。柳茶屋バス停から2キロ。992(正暦3)年、一条天皇の勅命を受けて兼俊僧正(藤原兼家の子)によって創建された。1180(治承4)年、平重衡の南都焼き討ちの際、その類焼を受けて全山全焼し、衰退した。現在は、福寿院客殿と本堂・鐘楼を残すのみ。本尊は薬師如来。清酒発症の地とされる。境内自由。福寿院の拝観は有料。
=状況が変わっている可能性がありますので、ご了承ください(梶川伸)2017.07.02

更新日時 2017/07/02


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