心にしみる一言(110) ホタルは人間と共存する場所にすむからこそ、自然保護のバロメーターになるのでしょう
◇一言◇
ホタルは人間と共存する場所にすむからこそ、自然保護のバロメーターになるのでしょう
◇本文◇
ホタルのシーズンになると、上の言葉を思い出す。今からちょうど20年前、高松市に住んでいた。「高松の奥座敷」と言われた塩江温泉で、「ほたるの里温知会」会長、松岡耕三さんに聞いた。その前段に「ホタルは里にすむ。山奥にはいない」の言葉があった。
「月に1日だけ、地元にために何かしよう」。そう考えて集まったのが温知会だった。その「何か」が、「昔は塩江町にあって、今は失われたもののの復活」となり、ホタルに行き着いた。
温知会は、徳島県・山城町から3年間、源氏ボタルの幼虫を分けてもらい、養殖を始めた。養殖の技術は、各地に研修に行って学んた。20年たって、各地の養殖を指導するまでになっていた。
川のほとりでホタルを見ながら、松岡さんの話が続いた。「川風が吹き、草や川のにおいがして、せせらぎの音が聞こえ、月や星が見える。そんな場所で見てこそ、ホタルは素晴らしい」
川の両岸でフワーッ、フワーッと、100を超す光が踊り、遊んでいた。か弱い光のようでも、夜の暗さの中では結構明るくて、川面にも光は写る。目に優しいながめは、今でも続いているのだろうか。(梶川伸)2017.06.21
更新日時 2017/06/21