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心にしみる一言(107) 脳の機能が男で体が女 

 性同一性障害に対する理解度は少しずつ進んでいるが、20年前は今とは全く違った。
 以前取材させてもらった女性から、電話がっかかった来た。声が弾んでいた。「子どもの改名が、裁判所で認められそうです」
 子どもは性同一性障害で、高校生になって「スカートをはきたくない」と言い、男子の制服で登校するために診断書を取り、障害を公表した。
 その女性が障害の説明として口にしたのが、上記の言葉だった。「心が男で体が女」という言い方は間違いとも言った。これらの表現が正確なのかどうかは難しいところだが、少なくとも私がこの障害について抱いていたモヤモヤした部分は、取り払ってくれた。だから、女性は「治療法は脳に体を合わせる以外にない」と強調した。子どもは乳房を切除し、男性器をつける手術を申し込んでいた。
 まだ社会が受け入れているとは言えない時期だった。その女性は、乗り越えなければならない最大の壁は夫(子どもの父)だったとも語っていた。(梶川伸)2017.06.08

更新日時 2017/06/08


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