心にしみる一言(102) (水墨画の)琵琶湖には、琵琶湖の水を塗った
水墨画家、松本奉山さんが毎日新聞で「琵琶湖みず紀行」を連載していたころ、大津市におの浜のピアザ淡海の展覧会を見に行ったことがある。連載した作品を中心にした展覧会だったが、目についたのは、比良山を描いた絹本の大作だった。
山の部分は墨の濃淡で素早く、力強く描いている。ここは時間をかけないのだという。湖は、取り上げた言葉のように、琵琶湖の水を塗ったそうだ。素人の私には、無色透明の水を塗ったからと言って、効果があるとは思えない。でも、奉山は言った。「その水が水の色を出す」
もう一つは世界貿易センタービルをテーマにした大きな作品だった。幅15㌢のはけで、上から下へと一気に書いている。上は墨がたまった塊にまっている。下に行くに従ってはけ目が最後まで続いている。作品の横に「9.11テロ」の募金箱があった。(梶川伸)2017.04.29
更新日時 2017/04/29