心にしみる一言(101) 子どもたちは、笑い転げるくらい喜びますね。大人はニヤッとするけど、笑い声は聞こえません
◇一言◇
子どもたちは、笑い転げるくらい喜びますね。大人はニヤッとするけど、笑い声は聞こえません
◇本文◇
50歳を過ぎて、「自分は何をしたらええのか」と考え出し、「これしかない」と思ったのが、絵本の読み聞かせだった。その昔、京都市の諸岡弘さんから聞いた話だ。
「お話や絵本は、心をいやす力を持っている」。その思いは強く、定年まで5年を残し、勤めていた本の取り次ぎ会社を55歳で退職した。「妻に、退職金は全部渡すから、辞めさせてくれと、頼みましてん」とか。
読書アドバイザーの資格を取り、グループを作り。図書館や公民館で読み聞かせを続けていた。得意なのは「じごくのそうべい」(たじまゆきひこ作)。鬼が「ぶー」とおならをするところがある。話のそのくだりで、上の言葉が口をついて出てきた。略さず書くと、次のようになる。
「子どもたちは、笑い転げるくらい喜びますね。面白いとスッと笑う。子どもは正直や。大人はニヤッとするけど、笑い声は聞こえません」
そんな子どもの反応に支えられて、自身も絵本に入り込む。「子どもは本来、本が好きなんや。読み手も絵本が好きにならんと、子どもには面白さがわらん。きれいに読む、上手に読むという以前の問題やね」と。(梶川 伸)2017.04.25
更新日時 2017/04/25