このエントリーをはてなブックマークに追加

寺の花ものがたり(103) 林昌寺(大阪府泉南市)皐月の刈り込み=5月下旬~6月上旬

2004年6月4日撮影

 皐月(さつき)の寺ではあるが、花を見るのでない。花の状況を知るために、行く前に寺に電話をすると、「刈り込みを楽しんでもらう」と教えられた。「寺の花ものがたり」(7)で紹介した滋賀県甲賀市の大池寺もそうだった。
 南海樽井駅で降りて案内を見ると、歩いて50分と書いてあった。安易な方法を選んで、タクシーに乗ってしまった。
 細い道に入っていき、それ以上は進めなさそうだったのでタクシーを降りた。すぐ近くに墓地がある。寺かと思い、出会った女性に聞くと、そこは墓地だけ。さらに20メートルほど奥に入ったところに寺があった。
 山門の外に紫陽花(あじさい)が咲いていた。山門を入ると突き当たりが本堂。右手に皐月の刈り込みがある。池をめぐり、蘇鉄(そてつ)や松も配置され、平たい石も立っている。
 皐月のいくつもの塊の造形となって、山肌を上る。山肌一面の皐月に、自由に迷路を作ったようにだが、実は重森三玲作の庭園「法林の庭」だった。重森三玲は昭和を代表する庭園家で、京都市にある庭園美術館を訪ねたことがあったが、予約が必要で涙を飲んだことがる。
 皐月を見ながら、上の鐘楼までゆっくりと登った。花はほとんどない。皆無と言ってよいほど。刈り込んだところから少し若葉が出て、形がスキッとはしていなかった。躑躅(つつじ)に続く、皐月の刈り込みだが、やや行くのが遅かったのだろう。

◇林昌寺(りんしょうじ)◇
 大阪府泉南市信達岡中395。072-483-2705。JR和泉砂川駅から徒歩25分。本尊は如意輪観音。伝承によれば、聖武天皇の勅願寺として、行基により天平年間に開創された。山号は躑躅山、堀河天皇の勅号だという。織田信長の雑賀攻めによる兵火を受けて全山焼失したが、堂宇は江戸時代に再建された。(梶川伸)=状況が変わっている可能性もありますので、ご了承ください。2017.05.03

重森三玲 雑賀攻め

更新日時 2017/05/03


関連地図情報

関連リンク