寺の花ものがたり(95) 善福寺(神戸市北区)枝垂れ桜=3月末~4月上旬
神戸市・温泉はいくつかの坂道に沿って、旅館やホテルが立ち並んでいる。温泉街の中にいくつかの寺がある。善福寺もその1つで、坂道に建つ。
細い道から細い段を少し登り、小さな山門をくぐると、小さな境内となる。背の高い枝垂(しだ)れ桜が1本。説明によると、樹齢は270年以上で、神戸市民の木に指定されている。少し小ぶりな枝垂れがもう1つ。その2本で、境内全体の空を覆っている。
いずれも白い一重の糸桜で。300年近く生きてきた力強さよりも、たおやかな上品さの方を感じる。
寺に伝わる大きな茶釜には、おもしろい物語がついている。阿弥陀堂の住職の頭の形を面白がった豊臣秀吉が、千利休に命じて、その頭の形似せ天下一与次郎に作らせたことから、阿弥陀堂釜と名づけられたとか。
◇善福寺(ぜんぷくじ)◇
神戸市北区有馬町1645。神戸電鉄有馬温泉駅から徒歩5分。078-904-0127。本尊は阿弥陀如来。行基が開基し仁西が再興したと伝えられている。境内自由。毎年4月、桜祭りの後桜の茶会が開催される。
(梶川伸)=状況が変わっている場合もありますので、ご了承ください。2017.03.21
更新日時 2017/03/21