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心にしみる一言(93) 阪神大震災と違うのは、帰れないかもしれないということ

2014年8月のさんさん商店街

◇一言◇
 阪神大震災と違うのは、帰れないかもしれないということ

◇本文◇
 東日本大震災から3年あまりたった2014年の夏、海岸沿いの被災地の一部を訪ねてみた。最初に行った宮城県南三陸町では、旧志津川駅のそばにできていた仮設の「さんさん商店街」で話を聞いた。
 復興の象徴の1つの施設だったが、客は少なかった。カマボコ店の女性従業員と話し込んだ。商店街の土地は5年間、地主さんから無償で借りていた。「さらに延長してほしい」と思っているが、「こちらからは言えない」と、商店街の悩みを代弁した。
 その5年の期限を迎えるころ、女性従業員は定年を迎える。「また2000万円ほどのローンを組んで家を建てるのか、それとも子ども家のそばの賃貸で暮らすか迷っている」。ひょいと店をのぞいただけの私に話すほど、迷っていたのだろう。
 最後につぶやいたのが、上記の言葉だった。被災地の広がり、未曾有の津波被害、そして立地条件。のっけから、阪神大震災とは全く違う被災地の現状を思い知らされた。(梶川伸)
 

更新日時 2017/03/12


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