心にしみる一言(90) ワインはブドウの出来、不出来による。日本酒は米の出来、不出来を言わない。自分で作るから勉強しなければいけない。
◇一言◇
ワインはブドウの出来、不出来による。日本酒は米の出来、不出来を言わない。自分で作るから勉強しなければいけない。
◇本文◇
毎日新聞で「ぶらり酒蔵」という、実に楽しい取材をしていたことがある。京都市の中心部にある佐々木酒造も訪ねた。
話を聞いたのは、社長の3男で専務の佐々木晃さんだった。長男は東京大学を卒業して研究職につき、2男は俳優の佐々木蔵之介さん。やむをえず、晃さんが酒蔵を継ぐことになったとか。
創業は1893年。晃さんによると、創業当時は洛中(京都の中心部)に131の酒蔵があった。時代をさかのぼって、室町時代には300軒もあったらしい。それがたった1軒になってしまった。
「洛中の酒を大事にする人の期待には応えたい」。1軒残った酒蔵の意地を見せる。その意地が、取り上げた言葉になる。
大手酒造メーカーへの桶売りが蔵を支えてきたが、それが終わり、自社ブランドの研究を続けてた。「ばば抜きと一緒で、最後のばばを引きたくない」。これも1軒残った酒蔵の意地。(梶川伸)=取材は2006年7月3日
※今回からは、毎日新聞の連載以外のものを掲載します。
更新日時 2017/03/03