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心にしみる一言(85) 般若心経をギンナンに書くと、1回で筆が使えなくなる 

2003年2月14日の毎日新聞

◇一言◇
 般若心経をギンナンに書くと、1回で筆が使えなくなる

◇本文◇
 5年ほど前、近畿三十六不動を巡った。七番国分寺に参ったのは、12月の寒い日だった。境内に水かけ不動があり、従えている2体の童子の身に、てぬぐいが巻いてあるのに目が止まった。
朱印をもらう際、寺の男性に聞いてみた。「お参りする人が、不動さんと接触をしたくなるのでしょう。冷え性の人だったのかも知れませんね」。参拝者の優しい心を、ユーモラスに語った。
男性は不動や寺の名を朱印帳に筆でしたためた。そばに、ギンナンの殻に般若心経を書いた土産物があった。細かい作業に感心すると、上の言葉だった。使えなくなった筆が朱印帳用になる。
境内を散策していると、男性が「ギンナンが焼けたよ」と言って差し出した。小さいけれども、ホコホコと熱い実をいただいた。(梶川伸)
=2003年2月14日の毎日新聞に掲載したものを再掲載2017.01.18

更新日時 2017/01/18


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