このエントリーをはてなブックマークに追加

心にしみる一言(84) ここも空き家、あそこも空き家 

2003年2月7日の毎日新聞に掲載したものを再掲載

◇一言◇
 ここも空き家、あそこも空き家

◇本文◇
 瀬戸内海でさえ、離島の現実は厳しい。香川県の高見島で出会った男性は、周りの民家を次々に指差しながら、ため息をついた。
多度津港から小型フェリーで、わずか25分ほどの所にある。島に住まず、実状を知らない私には、それほど不便な場所には思えない。しかし、男性の言葉は重い。しかも、問わず語りにである。「家は残っとるが、人はおらん。多度津に住んで、漁業のために島に出勤してくる」
島の民宿に泊まった。貝柱用のタチガイをもぐって採る漁師が経営していた。長さ30㌢もあるタチガイのからを皿にして、貝柱や海の幸の刺し身をたん能した。主人の話を聞きながら、のんびりとした夜を過ごした。観光には季節外れの冬だということもあって、他に客はいなかった。(梶川伸)
=2003年2月7日の毎日新聞に掲載したものを再掲載2017.01.09

更新日時 2017/01/09


関連地図情報

関連リンク