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心にしみる一言(80) 口の中の大工さんでも、ええやないか

2002年12月27日の毎日新聞

◇一言◇
 口の中の大工さんでも、ええやないか

◇本文◇
 子どものための歯医者さん、吉原正彦さんの歯科医院を訪ねた時、まるで大きな子ども部屋だと思った。子ども(患者)たちのスナップ写真が、壁いっぱいに張られている。オルゴールもいっぱい置いてあった。天井は青い空に塗られ、その下でこま回し、おはじき、けん玉で遊ぶ子がいる。「宿題を持ってくる子もいる」とも聞いた。。
大工になるのが夢だったという。結局は歯科医の道を進んだのだが、どこかためらいがあった。父が言った上の言葉で、ふんぎりがついた。
「歯磨きがちゃんとできる子は、歯科治療なんかへみたいなもんだ。ルンルン気分で来る」と、歯磨きの大切さを訴える。「かめばかむほど味が出るというが、食べ物の味だけでなく、人間の味も出る」。口の中から人間の心を見ている。(梶川伸)
=2002年12月27日の毎日新聞に掲載したものを再掲載2016.11.19

更新日時 2016/11/19


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