心にしみる一言(79) ネギに「はなたれ」が入るのは、霜が降りてから
◇一言◇
ネギに「はなたれ」が入るのは、霜が降りてから
◇本文◇
友人を京都に案内した時、タクシーの運転手に勧められ、上七軒のうどん屋に行った。ネギうどんが推奨の一品。2年前の111の末だった。
メニューを見ても、ネギうどんがない。もっと寒くならないと、出さないという。残念がっていたら、「おいしくなくてもいいのなら」と言う。無理に頼むと、ぶつ切りにした太めのネギが乗ったシンプルなうどんが出てきた。
そのこだわりが気になり、再訪して取材した。洛北で育ったネギを使っている。「はなたれ」とは、ネギの中のヌルヌルしたものを言い、それが味を引き立てる。そして、上の言葉だった。
「スーパーのは洗って売ってるから、ヌルヌルあれへんでっせ。もったいないことしよんな」。ネギを主役にする主人らしい言い方だった。(梶川伸)
=2002年12月20日の毎日新聞に掲載したものを再掲載2016.11.11
更新日時 2016/11/11