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心にしみる一言(77) この寺の世話をしている家で、59代目になる

2002年の毎日新聞

◇一言◇
 この寺の世話をしている家で、59代目になる

◇本文◇
 4年ほど前、近畿三十六不動を順番に参った。二十七番葛川明王院は、滋賀県のJR湖西線堅田駅から、バスで40分も入っていった所にあった。
本堂へは、自分で電気をつけて入った。正面からではなく、横入りだったのを覚えている。
お参りをすませ、朱印をもらうと、寺の世話をしている女性が、お茶を勧めてくれた。その女性のよもやま話の中で、取り上げた言葉が出た。59代目と聞いて、家の歴史の重さを知った。
68歳だと言った。「不動さんが上手私たちを使う。主人はカツラの木の彫刻、私は編み物」。手作りの品を、土産物として置いていた。「しゃきっとして、健康にもいい」
 バスの時間になったので、いとまを告げると、「ご苦労さまでした」と、畳に手をついて送り出してくれた。(梶川伸)
=2002年12月6日の毎日新聞に掲載したものを再掲載2016.10.02

更新日時 2016/10/02


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