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心にしみる一言(73) 2人は髪を切って交換し、「死んだら開拓村に知らせてくれ」と約束した

2002年11月8日の毎日新聞

◇一言◇
 2人は髪を切って交換し、「死んだら開拓村に知らせてくれ」と約束した

◇本文
 1945年9月16、17両日、中国ハルビン市で、日本人35人が銃殺された。終戦直後の混乱で、中国人との間で戦闘が起き、その責任を問われた。
小野寺好さんは銃弾が腕に当たり、九死に一生を得た。意識が戻ると、同じ開拓村の男性がもう1人生きていて、上記の約束をした。その男性は髪を渡して間もなく息を引き取った。小野寺さんはふんどしで止血し、生のカボチャをかじりながら、1週間かかって開拓村にたどり着いた。
この話は、同じ開拓村の下山トクエさんから聞いた。夫も銃殺された1人で、31歳だった。銃殺の模様を知らされて失意の中にある時、父が熱病で他界した。1カ月後に母も亡くなった。その翌日には、2人の子どもがチフスで死亡した。戦争とは、信じられないような悲しみの連鎖を招く。(梶川伸)
=2002年11月8日の毎日新聞に掲載したものを再掲載2002.08.26

ハルビン市

更新日時 2016/08/26


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