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心にしみる一言(64) 30年たって、やっと土がよくなった

2002年9月6日の毎日新聞

◇一言◇
 30年たって、やっと土がよくなった

◇本文◇
 岡山県笠岡市沖の瀬戸内海に浮かぶ真鍋島は、石積みの堤防があり、寒菊が咲く美しい島だ。
島を巡っていると、年配の女性に声をかけられた。話好きな人だった。手作りのミカンジュースを差し出しながら、自然農法について語った。
化学肥料はもちろん、堆肥も使わない。「30年たって、やっと土がよくなり、おいしい作物ができるようになった」とか。農業とは、途方もない時間がかかるものなのだろう。
雨が非常に少ない島だという。「乾燥した土地なので、植物は懸命に生き、ぎりぎりのところで、おいさが濃縮された作物ができる」。植物の生命力を信じ切った農業とも言えそうだ。
ジュースには、ミカンのかすが浮いていた。それが自然、手作りのよさで、お代わりを頼んだ。(梶川伸)
=2002年9月6日の毎日新聞に掲載したものを再掲載2016.05.05

更新日時 2016/05/05


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