このエントリーをはてなブックマークに追加

心にしみる一言(21) 心で「ようやった」と叫んだ

2001年10月5日の毎日新聞

◇一言◇
 心で「ようやった」と叫んだ

◇本文◇
 小さな失敗と成功だったが、とても大きな感動だった。神戸市の垂水東中学で22日にあった体育大会のことを、友人が教えてくれた。体育担当の馬田恒弘先生に聞くと、次のようなことだった。
3年生男子の組み体操が最後を飾った。4組は4段タワーに挑んだ。1番下が8人、その上に4人、2人、1人と乗って立ち上がる。11日間の練習を積んできたのだが、本番では崩れた。他のクラスは、それぞれの組み体操を成功させていた。
閉会式の後、だれかが叫んだ。「もう1度、やらしたってくれ」。3年生が全員残った。帰りかけていた家族も。再挑戦も失敗だった。「もう1度」。気力を振り絞ると、見事に立った。拍手がうず巻いた。3年生はみんな泣いていた。馬田先生も。子どもたちへの言葉は声にならなかった。(梶川伸)=2001年10月5日の毎日新聞に掲載したものを再掲載2015.05.02

更新日時 2015/05/02


関連地図情報

関連リンク