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心にしみる一言(20) 自然体になって、石と対話する

2001年9月27日の毎日新聞

◇一言◇
 自然体になって、石と対話する

◇本文◇
 石笛(いわ・ぶえ)の響きにしびれたことがある。吹き手は横沢和也さん。事務所になっていたマンションの一室だった。部屋の空気をビリビリと震わせ、魂が乗り移った音色が私の脳天を突き抜けた。ぼう然となって、話にも聞きいった。
本来はフルート奏者だった。奉納演奏をした奈良・天河神社の宮司に、石笛を渡された。笛とはいっても、ツバメ貝が酸を出して石に穴をあけただけのもの。三重の海で拾ってきたものだった。
 やがて、一つ穴の楽器に夢中になっていく。「音楽のために人間が作ったものではなく、大自然が生み出した。楽器の概念を超えている」。だから、演奏の際は石との対話につきる。「無心になって吹くしかない。音楽はテクニックではない」。自然の心が、横沢さんの石笛に溶け込む。(梶川伸)=2001年9月27日の毎日新聞に掲載したものを再掲載

石笛 天河神社

更新日時 2015/04/27


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