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心にしみる一言(12) 礼を言うなら西村先生に

2001年8月2日の毎日新聞

◇一言◇
 礼を言うなら西村先生に

◇本文◇
 1948年の大阪府豊中市議会の議事録に、この言葉が残る。西村とは、故・西村真琴さんのことだ。
終戦後、中国から引き揚げた軍人に聞いた話を市議が取り上げた。見ず知らずの中国人青年が、親身になって引き揚げの手伝いをした。軍人が述べた礼に、この言葉が返ってきたのだという。
西村さんは大学教授から大阪毎日新聞記者に転じ、日本初のロボットを作って博覧会に出品したことで知られる。日中戦争の最中には、隣邦児童愛護会を組織し、中国の子ども68人を日本に招いて養育した。「戦禍が幾多民衆の不幸を現じつつある中にも、最も哀れなるは、父母を失いかつ寄る辺なき孤児が飢に泣き或いは病に悩む姿である」
太平洋戦争の激化とともに、子どもたちは帰国した。中国人青年は、その中の1人だった。(梶川伸)=2001年8月2日の毎日新聞夕刊の掲載したものを再掲2015.02.23

西村真琴

更新日時 2015/02/23


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