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心にしみる一言(10) 先生が島を去る時は、テープで別れを惜しみます 

2001年2月19日夕刊

◇一言◇
 先生が島を去る時は、テープで別れを惜しみます 

◇本文◇
 船出の時にテープを投げて別れを惜しむ。そんな情緒は、とうの昔になくなったと思っていた。ところが、瀬戸内海の豊島には残っている。
豊島は、50万トンにも及ぶ産業廃棄物の不法投棄の問題と闘った。支援者の友人に誘われて、豊島に行ったことがある。運動の中心メンバーの安岐正三さんらとは初対面にもかかわらず、深夜まで酒を飲んだ。そこで、テープの話が出た。
島の学校の先生が異動になると、PTAは送別会をする。別れの日がきて、先生が船に乗り込むと、万歳を三唱してテープを投げて送り出す。
小さな島の運動は、支援の輪を全国に広げた。日本のごみ問題の象徴だったからだが、住人の人の良さも理由の1つだろう。ある日、島を出る小さなフェリーに乗ると、テープが飛んできた。その端を握った時、島を忘れないだろうと思った。(梶川伸)=2001年7月19日の毎日新聞夕刊に掲載したものを再掲載2015.02.17

豊島

更新日時 2015/02/17


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