心にしみる一言(9) 地蔵は弥勒菩薩のもとに修行に旅立った
◇一言◇
地蔵は弥勒菩薩(みろくぼさつ)のもとに修行に旅立った
◇本文◇
この文には先がある。「お告げによると、56億7000万年かかる。そこで、傍らに控えて修行していた弟弟子を正式に不思議地蔵とした」
大阪府東大阪市のJR徳庵駅のそばに、小さな地蔵が祭られている。不思議と願いがかなうらしく、「不思議地蔵」と呼ばれる。地蔵の説明として、この不思議な文章が書いてあった。
どうも意味がわからない。お参りの女性に尋ねてみた。本来の地蔵は盗まれてしまい、後ろに隠れていた小さな地蔵を二代目にしたのだという。
盗難を「修行」と表現する優しさと軽妙さ。56億7000万年というおおらかな数字は、実は末法の世が始まってから弥勒が衆生を救いにくるまでの時間で、仏教の教えに引っかけて洒落っ気もある。この地蔵は温かい人たちに守られている。(梶川伸)=2001年7月5日の毎日新聞夕刊に掲載したものを再掲載2015.02.14
更新日時 2015/02/14