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心にしみる一言(5) 虚しく往いて満ちて帰る

2001年6月7日の毎日新聞

◇一言
 虚(むな)しく往(ゆ)いて満ちて帰る

◇本文
 四国八十八カ所の遍路道は1400㌔もある。得意でもない自転車での巡拝を決めた時、不安でならなかった。出発にあたり、一番霊山寺の芳村超全住職から聞いた言葉で、肩の力が抜けた。
 空海はいくら勉強しても、悟りに出会えなかった。洞窟に100日もこもったが、ぼん脳はなくならない。そこで中国に渡った。あてにせずに行ったが、たくさんのものを持ち帰った。芳村さんはかみくだいて、「虚往満帰(虚往実帰)」を説明した。
 そうだ、どんなことでも一歩を踏み出してみることだ。「虚往」の気楽さて、ペダルを踏んだ。
 「満帰」だったか?ぼん脳の塊の私には、何とも言えない。ただ、出会った人の温かさや、大けがのような失敗談など、思い出は心に満ちるほど持ち帰った。それに、50歳にしての自信と。(梶川伸)=2001年6月7日の毎日新聞夕刊に掲載したものを再掲載2015.01.31

四国八十八カ所 一番霊山寺

更新日時 2015/01/31


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