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寺の花ものがたり(2) 大通寺(滋賀県長浜市)馬酔木 2月上旬~4月中旬

2011年4月1日撮影

 長浜市といえば、盆梅が有名だ。大通寺の場合は馬酔木(あせび)の盆栽。今年で19回を数える。
 堂の縁側と中庭に、約100鉢が並ぶ。古いものは推定樹齢400年。小さな花房が垂れ下がる。色は白とピンクだが、岡田辰男・馬酔木展実行委員長(75)によると、昨年は空色の花が咲いた。今年は残念ながら、白に先祖帰りしたそうだ。
 そもそも、参道の商店街「銀座通り」の再生作戦だった。大手スーパーがいくつも郊外にできた。岡田さんの表現はオーバーだが、「街の中には猫か犬しか歩いとらん」状況になった。
 人を呼び戻そうと、商店街を「表参道通り」と改名した。アーケードをなくして山門が見えるようにし、石畳を施した。
 馬酔木展の言い出しっぺは、商店街メンバーの堤徳義さん(昨年死亡)。兄が森林組合の組合長で、ヒントをもらった。
 伊吹山系に馬酔木の木を探しに行った。車で40~50分。さらに歩いて山に入り、2時間もかかった所もある。100回ほど遠征して、約300の木を運んだ。
 樹齢400年の木は、枝を切って電信柱のようにし、根を掘り起こした。後は「50畳くらいの穴が開いた」とか。9人で1日かかった。それを盆栽に仕上げていく。鉢に植えた重さは、800㌔もある。
 いま、心配なことがある。房が短くなってきた。「水が足りないのではないか」。岡田さんはそう考えた。展示がすむと、鉢は寺の裏庭で保管される。夜は寺の門が閉まる。寺に頼み、個人的に鍵を預かって、夏の間は夜に水やりをすることにした。そんな努力が、馬酔木展を下支えしている。(梶川伸)

◇大通寺
滋賀県長浜市元浜町32。0749-62-0054。JR北陸線長浜駅から徒歩15分。拝観料必要。本堂は伏見城から移築した重文。馬酔木展は毎年1月中旬から。長浜市では4月14~16日、曳山(ひきやま)まつりの子供歌舞伎がある。

=2004年4月13日の毎日新聞の掲載されたものを再掲載。状況が変わっている可能性があるので、ご了解ください。
※馬酔木展は開催期間が決まっているので、要注意。




馬酔木展 大通寺

更新日時 2015/01/20


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