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編集長のズボラ料理(872) ハクサイ巻き

つゆにもシメジを入れてみた

 子どものころ、おふくろが作るごちそうの第1は豚カツだった。その思い出のためか、いまだに豚カツは大好きだ、
 外食で何を食べるか迷うと、急いでいればラーメンかカレーだが、急いでいなければ豚カツを食べることが多い。神戸勤務だった時は、よく武蔵に行った。大阪勤務だった時は、豚晴か和幸。
 若いころ、徳島勤務だった時は、豚カツ屋さんを探し回った。大先輩が時々会社を訪ねてきて、「どこか見つけたか」と聞くからだった。
 大先輩は終戦後、戦地から東京に引き揚げてきた。「東京で食べた豚カツが忘れられん」が口癖だった。その味に、生きていることをかみしめたのだろう。
 出身地の徳島に帰り長い年月が経っても、豚カツを求めていた。豚カツの店を知らせると、一緒に行ってごちそうしてくれた。お袋の味に、大先輩の思いも加味して、僕も人生の終盤まで、豚カツを求めている。
 おふくろの味ではほかに、鶏の骨付き肉を揚げたもの、それにキャベツ巻きがあった。キャベツ巻きはミンチを葉で巻いて煮たもの。当初はそれほどごちそうとは思っていなかったが、ロールキャベツと言い換えるようなって、オシャレなイメージに変わっていったような気がする。いい加減なもんだ。
 キャベツをハクサイに変えた料理も、お袋は作っていた。これはハクサイ巻きと言っていたと思うが、ハクサイロールやロールハクサイと呼んでいたかどうかは覚えていない。
 ご近所の夫婦が、巨大なハクサイを持ってきた。うちで昼飲みをした後で、そのお礼の意味もあったのだろう。その時は僕があてを作ったが、夫婦も食べ物を持参した。夫は手作りラスク、妻は煮物。どちらもランクは高かった。
 味がわかる夫婦に違いない。だから、ハクサイにも期待した。京都・美山の知り合いが、無農薬で作っているという。そこで、ハクサイ巻きを作ってみることにした。
 大きなハクサイだったので、1枚を横半分に切り、葉の方ばかり使った。葉は軽くゆで、シンナリさせる。具は合いびきミンチに豚ミンチを加え、豚の割合を多くしてボウルに入れる。ニンジン、タマネギ、シメジ、ネギのみじん切りも入れ、生卵、塩、おろしショウガ、白だしを加えて混ぜる。たねは俵状に成形し、ハクサイの葉に乗せ、手前から巻いていく。最後に葉の両サイドを中に折り込でまとめる。弱いようなら爪楊枝で止める。鍋にだしを取り、さとう、酒、しょうゆで味をつけ、サクサイ巻きを入れて煮込む。
 案の定、穏やかな味のあるハクサイだった。巨大だから、まだ何回も作ることができる。問題は、茎の方をどう使うか。(梶川伸)2026.05.21

更新日時 2026/05/22


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