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編集長のズボラ料理(807) 組み合わせ簡単カレーうどん

いろいろなレトルトカレーを試すとおもしろい

 うどんのメニューにはいろいろな種類があるのだが、中に一定のステータスを持っているものがある。
 高松市に1年5カ月住んで、さぬきうどんをたらふく食べ、分かったことがいくつかある。まず、驚いたのは、香川県人はうどんが本当に好きだということ。当たり前だと思うかもしれないが、うどんという料理ではなく、うどんの玉、つまり麺が好きなのだ。
 みんながよく食べるのは、肉うどんでもなく、天ぷらうどんでもなく、きつねうどんでもない。かけうどんである。大阪でいう素うどん。だから店によっては、「熱いの、冷たいの」「大、小」だけで注文する。
 県全体を覆うかけうどん圧力の中で、ドジョウの打ち込みうどんは別格だった。「打ち込み」とは「煮込み」のこと。つまり、ドジョウの煮込みうどん。これは一目置かれていた。大人数の時や、もてなしにしばしば使われた。
 「夢千代日記」などで知られる早坂暁さん原作の映画「夏少女」を、高松市で自主上映したことがあった。知人が活動の中心だった。上映前に早坂さんを招いた集まりがあり、僕も誘われて参加した。酒と食べ物があれば、断る理由はない。
 もてなし料理が、ドジョウ打ち込みうどんだった。参加者が多かったので会は戸外で行い、大きな鍋で作った。早坂さんは喜んで食べ、僕は喜んで飲んだ。早坂さんは飲まないので、チグハグな出会いだった。
 上映後、打ち上げの会があった。今度は少人数だったので屋内の集まりだった。当然、酒も用意してあり、僕はまたガバガバ飲んだが、早坂さんは飲まないので、チグハグな再会だった。
 大阪人もうどんが好きだ。特にけつねうどんが好まれるが、カレーうどんもステータスは高い。店で食べに行くと、必ず紙のエプロンが用意されている。何と格式の高いこと。
 香川県出身で大阪に住む友人がいて、うどん大好きだから、毎日のように昼ご飯は冷凍うどんを食べるという。最近はレトルトカレーをかけることが多いらしい。それはズボラ料理にうってつけではないか。名づけて組み合わせ簡単カレーうどん。
 鍋にだしを取り、みりん、酒、しょうゆで味をつける。水の量は、丼のうどんがひたひたになる程度。牛肉、タマネギのくし切りを入れて煮る。煮上がったらレトルトカレーを加え、さらに煮る、冷凍うどんを湯でゆで、水分を切って丼に入れ、刻みネギをふる。上からカレーのつゆをかける。
 このカレーうどんは、市販のものを組み合わせただけだから、ステータスは低い。エプロンをする必要はない。してもいいが、家族以外に見る人はなく、家族にも「何してんの」と白い目で見られだけ。(梶川伸)2025,06.22

更新日時 2025/06/22


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