編集長のズボラ料理(790) スズキの醤油糀焼き
魚のスズキは、それほどポピュラーな魚ではない。僕と同じように感じている人は、結構多いようだ。
ポピュラーでないから、よく知らない。そこでスズキをインターネットで調べてみた。分かったのは、僕と同じ行動に出る人が多いことだった。
「魚 スズキ」と入力すると、まずウキペディアの「スズキ(魚)」が出てきた。まあ、そうだろう。問題はその下。「関連する質問」の項目があり、その2番めに「スズキは美味しいですか?」とあった。スズキが美味しいのかどうかを、知らない人が多いということを示している。ヘェーである。
そこで、ほかの魚もインターネットで調べてみた。まず、ポピュラーな鯛。「美味しいですか?」の項目はない。魚の王様だから、まあ、そうだろう。イワシ、サバ、サンマ、ブリ、サケも同様。よく食卓に乗るから、味はみんな知っている。
では、ややマイナーなタチウオ、ハゲ、ハタハタ、ホッケは?やはり、「美味しいですか?」の項目は見当たらない。アナゴ、マグロも。
では、スズキは、なぜ? 食べそうであまり食ないからだろうか。ちょっと磯くさいので、それも影響しているかも。
僕もスズキの記憶はあまりない。京都市・鴨川の床で、ランチのコースを食べる機会があった。料理中にスズキとクレソンの吸い物があった。なぜ覚えているかというと、珍しく息子がおごってくれたからだ。何せ、過去3回しかおごってもらってないから、忘れようがない。
コロナ前は遍路仲間で、新大阪のリーゾナブルな中華料理店「小麦ランド」によく行った。ある時、スズキの蒸し物・ナンプラーソースが出た。支配人と顔なじみになり、コース料理の中のメニューも単品として作ってくれ、スズキもそうだった。1尾の姿のまま出てきたが、実は参加者の数に合わせて7つに切ってあった。みんなで取り分けた後、支配人は残りを一旦さげて、頭とほおの部分の身をそぎ取って持ってきてくれた。ほんのわずかの量なのに。こんなにされたら、忘れるわけにはいかないではないか。
特別なことがなければ、スズキは覚えれないない魚。そう分析して、今回のズボラに挑戦した。
スーパーで骨を取った切り身を売っていたので、便利だから買ってみた。単純に焼いてしまえば、このスズキのことは忘れてしまうだろう。そこで、醤油糀(しょうゆこうじ)を表面に塗ってしばらくおき、ガスレンジのオーブンで焼いた。
スズキは美味しいか?の問いに戻る。この料理はなかなかいけた。ただ、こうじとしょうゆのために良い味が出ていたのかもしれない。スズキ本体は味はどうだったのか。そこまで考えて食べなかったので、結論は先延ばしにしよう。(梶川伸)2025.03.17
更新日時 2025/03/17