心にしみる一言(391)萩振る舞い
◇一言◇
萩振る舞い
◇本文◇
京都市伏見区、勝念寺に萩を見に行ったことがある。自宅からだと、近鉄電車に30分弱乗り、駅からは歩いて10分足らずで、気軽に出かけることができるからだった。
小さな寺だった。山門の横に書いてあったのが、取り上げた「萩振る舞い」の言葉。自由に入るように勧めているのだと読み取った。何とも美しい言葉を使った粋なはからい。
山門をくぐると、狭い境内は萩であふれていた。ちょうど良い時期だった。前日、台風が近畿地方を通過したためか、萩の花がこぼれていたが、それも風情を加えるのに役立っていた。
しだれている萩をかき分けるように進む。赤が中心だが、白もあり、ピンクの花もあった。萩の下には彼岸花。さらに萩の間には、白いは芙蓉(ふよう)も、小さな石仏も。小さな静かな寺は秋の振る舞いに包まれていた。(梶川伸2022.10.06
更新日時 2022/10/06