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心にしみる一言(386) ムクゲはほっとく方ほうがいい。自然のまま。仏の花にもらう時に、ついでに剪定するくらい。

龍潭寺白

◇一言◇
 ムクゲはほっとく方ほうがいい。自然のまま。仏の花にもらう時に、ついでに剪定(せんてい)するくらい。

◇本文◇
 夏に白いを花を見ると、それだけで涼しさを感じる。滋賀面彦根市の龍潭寺(りょうたんじ)に、「龍潭寺白」という品種のムクゲがある。名前の通り真っ白で、しばし暑さを忘れさせる。
 ムクゲは韓国の国花となっている。龍潭寺白は、韓国との交流の中で育った花だった。取材で寺を訪ね、この花の歴史に関する住職の推測を聞いた。
 江戸時代、朝鮮国王が幕府に派遣した朝鮮通信使は、彦根にも宿泊した。その際、一行からムクゲの種をもらったのが始まりだと、住職は考えている。
 「5代藍溪和尚(らんけいおしょう)が宿泊所に出向き、話し相手になった。筆談だった。使節に送った詩が寺に残り、ムクゲをもらったと伝わっている。ムクゲの種は、漢方として使われた。使節が常備薬として持っていたのではないか」
 龍潭寺には、禅宗の大学が設けられていた。その中に、園頭科(おんずか)という造園技術科があった。ここで学んだ僧が、各地の禅宗庭園を施工した。このため、朝鮮通信使にもらった珍しいムクゲも、大事に育てられたに違いない。これも推測だが。
 住職は挿し木でせってと増やしていった。そこでムクゲの育て方も聞いた。それが取り上げた言葉だった。禅宗の園頭科の伝統は引き継がれているのだろう。(梶川伸)2022.08.26

更新日時 2022/08/26


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