寺の花ものがたり(278) 岩瀧寺(兵庫県丹波市)紅葉=11月中旬~下旬
「寺の花がたり」という連載記事を書いていたことがある。その縁で毎日新聞旅行に頼まれ、2年間ほど花の寺を訪ねる日帰り旅の案内人をどさせてもらった。
行程表は私が作った。花が咲く時期を見越して、早めにプランを立てて募集する。花の見ごろを推定するのは、なかなか難しかった。
秋は紅葉で、これは時期が案外長いので、日取りについてはあまり心配はしなかった。一方で、訪ねる寺選びには気を使った。みんな紅葉狩りが好きだから、ありきたりの場所では魅力を感じないからだった。
2007年には、兵庫県の丹波三山を選んだ。高原寺、円通寺、石龕寺(せきがんっじ)で、どこも紅葉が美しい。ただ、「三山」と名前がついているので、知っている人は結構いるはず。そこで行程表には載せない隠し玉を用意しておいた。それが岩瀧寺だった。
小さな2層の山門をくぐる。本堂はわらぶき。モミジの木は多くはないが、境内が広くはないので、紅葉に包まれた気分になる。
寺の奥を少し進むと、独鈷(どっこ)の滝がある。高さは10メートルだが、豊かな水量で一直線に落ちていた。滝の前にも数本のモミジの木があり、ちょうどよく色づいていて、流れ落ちる水と良い組み合わせだった。
三山には及ばないが、滝もあって、サプライスはまずまず成功したと思った。その後、台風で滝の周辺に被害が出たと聞いたが、復旧したのだろうか。
◇岩瀧寺(がんりゅうじ)◇
兵庫県丹波市氷上町香良613−4。JR石生駅からタクシーで15分。0795-82-7675。弘仁年間(809~823)に空海が開いたと伝えられる。本尊は不動明王。紅葉期は有料。
(梶川伸)=状況が変わっていることもありますので、ご了承ください。2021.11.14
更新日時 2021/11/14