寺の花ものがたり(268) 興福寺(奈良市)藤=4月下旬~5月上旬
奈良市の奈良公園は広い。その中に東大寺、興福寺、春日大社も含まれると言っていい。3つの社寺と公園との間に塀などの境がなく、開放的な点が特徴となっている。
藤は春日大社の「砂ずりの藤」がよく知られている、藤棚から房が長く伸びる。それ以外にも神社の周辺の森には、木を伝って登っていく野生の藤があるし、神苑の万葉植物園には、たくさんの種類の藤が育てられている。
しかし、公園内にはほかにも、藤棚や野生の藤はいくつもある。興福寺には目にする藤棚が3つある。
南円堂の前には左右に2つ。堂に向かって右側は、よくある一重の房を長く伸ばす種類。左側は縮れたような八重の花で、色も濃い。八重黒龍という種類かもしれない。南円堂から近いので、花と堂を組み合わせて写真を撮るとよい。
もう1つ、五重塔の前に藤棚がある。何本かつるが伸びているのが残念だが、棚は結構広い。塔と一緒に撮るのはちょっと難しいが。
◇興福寺(こうふくじ)◇
奈良市登大路町48。近鉄奈良駅から徒歩10分。0742-22-7755。京都・山科の藤原鎌足私邸に建立された山階寺が前身で、飛鳥を経て、和銅3(710)年の平城遷都に伴い、藤原不比等によって現在地に移転され、興福寺と名付けられた。南円堂は西国33所観音霊場9番札所。東金堂、五重塔は国宝。本尊は釈迦如来。境内自由。
(梶川伸)=状況が変わっていることもありますので、ご了承ください。2021.04.26
更新日時 2021/04/26