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寺の花ものがたり(266) 長谷寺(奈良県桜井市)牡丹=4月中旬~下旬

2021年4月19日撮影

 長谷寺は「花の御寺」と名乗る。桜もいいし、紅葉もいい。しかし、シンボルは牡丹(ぼたん)だろう。
 冬牡丹は2度見たことがある。ワラ帽子をかぶった姿は風情がある。しかし、冬に咲かせるように育てたもので、どこかに不自然さを感じる。
 それに対して、本来の時期である春の牡丹は、伸び伸びとしていている。大輪なので華やかで、天気が良ければ、見る人をウキウキさせるような明るさに満ちている。
 まず、数の多さに圧倒される。入山料を払う前の参道でも、にぎやかに出迎えてくれ、それだけ十分に楽しめる。しかしながら、境内に足を踏み入れると、入山料が惜しくなくなる。本堂へ登る回廊の両側に、ズラリと牡丹が並んでいる。回廊をバックにして写真を撮ると、いかにも長谷寺らしい絵柄になる。
 紅、赤橙(だいだい)、ワインレッド、ピンクといった赤系統が多いし、良く目立つ。ピンクはさらに、いくつもの色合いに分かれる。中に白が混じる。黄色も見かけたが、わずかだった。
 本堂に参拝して下って行く途中、本坊に寄る。ここにも牡丹が並んでいる。ここからは、本堂をバックに花を取ることができる。
 牡丹に堪能しても少し飽きてきても、芍薬(しゃくやく)、大手毬(おおでまり)、姫空木(ひめうつぎ)、青紅葉に目が移る。そして寺を去る時、出迎えの牡丹と再会し、振り返りながら帰って行くことになる。

◇長谷寺(はせでら)◇
 奈良県桜井市初瀬731。近鉄長谷寺駅から徒歩15分。0744-47-7001。道明上人が天武天皇のために千仏多宝仏塔を安置し、徳道上人が聖武天皇の勅命で十一面観音をまつったのが起こりと伝えられる。真言宗豊山派の総本山。西国観音霊場8番。入山有料。
(梶川伸)=状況が変わっている可能性もありますので、ご了承ください2021.04.21

更新日時 2021/04/21


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