寺の花ものがたり(263) 常照皇寺(京都市右京区)九重桜=4月上旬
常照皇寺の九重桜は、京都市中心部の桜よりは少し遅く咲く。2004年に行った時の詳しいメモが残っていて、それを見て書いている。今は大分変っているかもしれないが。
JR京都駅からJRバス周山行きに乗った。途中、高雄、栂ノ尾を過ぎていく。桜、ツツジが美しかった。北山杉の中も行く。周山から京北町営バスで山国御陵前まで10分。
のどかな山里。桜並木の参道。途中で会った人が、「昨日が満開。昨日と今日が1番いい」と話していた。小さな山門の前で枝垂れ桜が迎えてくれた。
石段を登る。両側に笹。もう1つ山門があり、小さな池に水が落ちていた。
江戸期の建物、怡雲庵(開山堂)の前に3本の桜がある。1番奥が天然記念物の九重桜だった。他の2本は子桜。
九重桜は、一重の花だった。幹周りは4メートルほどある。下の方は穴が開き、中がえぐれて空洞になっている。高さ5メートルも幹が伸び、そこから枝が出ている。枝は3つ伸び、そこから細さらにく伸びて垂れている。長いもので2メートルにも及ぶ。
白い小さな花の下は苔。木は15本の支柱で支えている。幹には羊歯(しだ)も紅葉の若葉も生えている。老木と白い華奢で繊細な花の対比が面白い。
花は逆光にさらに白く輝く。花は2センチの大きさで、中心はほんのりとピンク染まっている。つぼみは紫かかったピンク。
花は全開でなく、ややすぼめた形で、恥ずかしげに咲いていた。朽ちていくものと若い花のような対比を感じた。
◇常照皇寺(じょうしょうこうじ)◇
京都市右京区京北井戸町丸山14−6。JR京都駅からJRバス「周山」下車、ふるさとバスに乗り換え約15分「山国御陵前」下車、徒歩約10分。075-853-0003。1362(貞治1)年に光厳法皇によって開かれた。本尊は釈迦如来。入山有料。
(梶川伸)=状況が変わっている可能性もありますので、ご了承ください2021.03.31
更新日時 2021/03/31