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心にしみる一言(285) 死んだ後もボタンのように、あ~いい人だったと言われるような人間になりたいなあ

総持寺の寒ボタン

◆一言◆
 死んだ後もボタンのように、あ~いい人だったと言われるような人間になりたいなあ

◆本文◆
 滋賀県長浜市の総持寺を冬に訪ね、住職から寒ボタンの話を聞いたことがある。境内は春には1000株のボタンが華やかさを競う。
 冬は20株ほどの寒ボタンが三角のわら帽子の中で咲く。葉を落としているので地味で、しっとりと咲く。帽子に雪が積もれば、風情は増すが、残念ながら雪には出会わなかった。
 住職の話は次第に法話のようになった。ボタンの花が散った後を、人生と比べた。
 「ボタンは花の王様。枯れた枝を燃やしても、においがいい。炎の色がいい。紫が出る。灰が真っ白。竹のようにカッとした熱さでなく、ふんわりとした暖かみがある」。そこまで言って、これは住職が発見したのではなく、「吉川栄治の宮本武蔵の中に出てくる」と明かした。
 法話の核心となる。「ボタンは咲いている間は豪華な花。枯れてもいい所がある。それを人間に置き換えてみる。生きている間は『長』がついて持ち上げられても、死んでから『あーあ、あの人はよかった』となるか。牡丹のようにはいかない。牡丹は枯れても王様」。最後は「そんな人間になりたいなあ」と住職の願望になった。(梶川伸)2021.01.31

更新日時 2021/01/31


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