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寺の花ものがたり(254) 石手寺(松山市)山茶花=11月下旬~12月上旬

2017年12月9日撮影

 寺を彩る花が少ない冬が、山茶花(さざんか)はよく見かける。一般的な花ではあっても、冬には貴重な花だと思う。
 四国霊場にも山茶花はある。ただし、冬は寒いので遍路のシーズンではなく、お参りで回ることは少ないので、見かける機会も減る。
 51番霊所・石手寺を12月に参拝したことがある。寺に着いたのは午前8時すぎで、境内はすがすがしかった。寺の人が地面に竹ぼうきの跡をつけている。読経の声が流れてくる。
 そんな冬の朝に見た山茶花は、スッキリとしていた。一般的な赤い花だし、木は多いわけではない。それでもお参りをする本堂や、歩く道筋に咲いているので、よく目に映る。山茶花も含めて、すべてが初冬の寺の朝を演出していて、寒さもあって身が引き締まる思いがした。
 塔頭の地蔵院をのぞいた。山頭火の句碑があり、「うれしいことも かなしいことも 草しげる」と刻んであった。

◇石手寺(いしてじ)◇
 松山市石手2-9−21。バス停「石手寺前」下車。089-977-0870。神亀5(728)年に伊予の豪族、越智玉純が熊野12社権現を祀ったのを機に鎮護国家の道場を建立し、聖武天皇勅願所となったとされる。二王門は国宝。本堂、三重塔、鐘楼、五輪塔などは重文。本尊は薬師如来。境内自由。
(梶川伸)=状況が変わっていることもありますので、ご了承ください。2020.12.04

更新日時 2020/12/04


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