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心にしみる一言(253) 昼寝飲食写生はご遠慮ください

円教寺本堂

◇一言◇
 昼寝飲食写生はご遠慮ください

◇本文◇
 西国33所観音霊場を初めて回った時だったから、2000年の1年前の年だった。兵庫県姫路市の27番円教寺に参ったのは、7月の暑い日だった。
 印象に残る参拝だったので、パソコンに入っている当時のメモを読み返すと、たくさんのことが書いてあった。
 寺は書写山にあり、ロープウェーで登った。標高371メートル。温度計は28度だった。少し下界よりは涼しい。駅のそばにタヌキがいた。ドッグフードを与えていた男性に聞くと 寺まで1キロ歩く。
 本堂は斜面に建っている。縁側は斜面に張出し、京都の清水の舞台のようになっている。スニーカーを脱いで、本堂に上がると、ござが敷いてあった。
 縁側は風が通っていて、一息ついた。その縁側にあった注意書きが、取り上げた言葉だった。
 しかし、昼寝をしている人がいる。その気持ちもわかる。私は寝ることはなかったが、足を投げ出した。
 下から子どもたちの声が聞こえてきた。寺の人に聞くと、姫路市の小学校4年生が、林間学校に来ているのだという。宿坊に泊まる1泊2日の学習。子どもが学習帳のようなものを手にして、「避雷針はどれ」と聞いてきた。
 寺の人は「初めてかね」と聞き、「ぜひ食堂(じきどう)にも行ってください。5分ほど登ったところだから」と言った。2階建ての格子戸が美しい建物だった。すぐ近くの展望台からは、四国がかすかに見えた。
 帰りは姫路城の北西にある公衆トイレに行った。どうしても、このトイレで用を足したかったからだ。何せ、黒川紀章の設計。タイル張りの外観、ガラス戸の自動扉。そして感動したのは、冷房完備。暑い日の締めくくりには、いい場所だった。
(梶川伸)2020.08.25

更新日時 2020/08/25


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