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寺の花ものがたり(229) 真福寺(奈良市)梅=2月下旬方3月上旬

2020年2月23日撮影

月ヶ瀬梅林は奈良の代表的は梅の産地として知られる。奈良市内だが、平成の大合併で奈良市になった旧月ヶ瀬村にあり、奈良の中心部からは随分と離れている。
 五月川に沿って梅の木が続き、梅は山肌も登っている。下から山道を進むと、頂上に近い場所で、小さな寺の真福寺が待っている。
 月ヶ瀬梅林の梅は、真福寺境内に植えられた梅の木をルーツとしていると伝わる。後醍醐天皇が笠置山籠城戦(元弘の乱)に失敗し、撤退する際に1人の女官がこの地に留まり、紅花染めの烏梅(うばい)の作り方を村人に教えた。このため烏梅用の梅が植えられていき、江戸時代には10万本の梅林になったとされる。
 明治時代になって、染めの材料が化学物質になるにしたがって梅林は縮小され、食用の梅林へと変わり、1万数千本の名勝月ヶ瀬梅林として観光客を集めている。それは現代に限ったことではないようで、福沢諭吉・伊藤博文・富岡鉄斎・谷崎潤一郎・新渡戸稲造・金田一京介などの文人が訪れたという。真福寺の入り口にも、「頼山陽ゆかりの寺」と説明があった。
 境内はこじんまりしている。そこに梅の木が20本ほど。木はそれほど大きくはない。色は白とピンクが半々。それに八重があり枝垂れがあり。密集感があるうえ、バラエティにも富む。建物が近いので、本堂との組み合わせがいい。
 寺から川側に少し下りると、展望台がある。川を遙か下に望み、覆い被さるような花との組み合わせがいい。

◇真福寺(◇
 奈良市月ヶ瀬尾山2248。JR奈良駅・近鉄奈良駅から奈良交通石内行きバスで1時間20分、尾山下車徒歩10分(便日2便、梅の時期は臨時バスが1本)。0743-92-0434。1178年の開創と伝えられる。本尊は地蔵菩薩。境内自由。
(梶川伸)=状況が変わっている可能性もありますので、ご了承ください2020.03.01

更新日時 2020/03/01


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