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心にしみる一言(224) 化粧をしたのは51年前の結婚式以来

介護が必要なお年寄りの紅葉狩り

◇一言◇
 化粧をしたのは51年前の結婚式以来

◇本文◇
 介護が必要なお年寄りのための紅葉狩りに同行したことがある。知り合いの杉野三千義さんが代表を務める「旅のトータルサポートあるく」の主催でだった。
 参加者は車いすの夫婦ら4人。大阪府箕面市の阪急箕面駅から箕面の滝までを散策した。「あるく」のスタッフのヘルパーが車いすを押し、歩ける人には手を引いた。
 歩くのが不自由になったお年寄りも、当然のことながら旅や観光をしたい。そのためには、サポートがいる。サポートの際の留意点を、その催しで知った。
 休憩をたくさん取る。トイレの場所を調べておく。車いすのネックになる個所をチェックしておく。それはすぐに思いつくことだったが、参加者が喜ぶアイデアを持っておくことも重要だと知った。その時は、女性参加者への化粧だった。そのために、メークの専門家も同行していた。
 喫茶店でコーヒーを飲む間に、メークのスタッフがヘ参加者女性3人化粧をし、髪型を整えて、紅葉の下で写真撮影した。される方は最初は照れていたが、1人が「化粧をしたのは51年前の結婚式以来」とおどけて笑いを誘い、場がなごんでいった。
 人生の先輩である参加者からも、教えられることが多っかた。脳梗塞(こうそく)を患った女性は病気の後、日記をつけるのをやめて、備忘録のようなものに変えたそうだ。病気のころに書いた日記は、暗い内容ばかりで、読み返すと気が滅入ってしまったからだ。では、備忘録風のものには何を書くかというと、翌日しなければならないことなど、未来形の内容がほとんどだとか。ふーむ、と感心しきり。(梶川伸)

更新日時 2020/02/25


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