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寺の花ものがたり(227) 當麻寺奥院(奈良県葛城市)冬牡丹=12月末~1月末

2020年1月15日撮影

 寒牡丹(ぼたん)と冬牡丹がある。寒牡丹は寒さの中で葉を落とし、身を縮めるようにして、懸命咲く。これは二季咲きの品種で、春の本番のほかに、冬も小さめながらも花を咲かせる。
 これに対して冬牡丹は一般的な春牡丹なのだが、温室で育てるなどして、冬に咲かせる。花は大きく、葉もつけている。
 當麻寺奥院には冬牡丹が咲く。浄土庭園と名づけられた庭に咲く。庭は池を中心にして、たくさの石が配置されている。その石の間に20株あまり。
 ワラで作った雪よけの三角頭巾の中で、花を開いている。雪がよく降るわけではないのだが、このワラ頭巾が風情を倍加させる。
 花は花びらを重ねていて、豪華に見える。ワインレッド、赤、淡いピンクに濃いピンク。冬の薄暗さとは対照的に、この庭は花のおかげで明るく感じる。冬牡丹は春が来たのと勘違いして花を開くのだが、それをながめていると、こちらが春が来たのと勘違いしてしまう。緑の葉も鮮やかだし。

◇當麻寺奥院(たいまじおくのいん)◇
 奈良県葛城市當麻1263。近鉄南大阪線當麻寺駅から徒歩20分。0745-48-2008。用明天皇の第3皇子、麻呂子親王が推古20(612)年に創建したと伝えられる。境内最大の塔頭(たっちゅう)が奥院で、浄土宗総本山知恩院の奥之院として建立された。大方丈には牡丹の天井画がある。冬牡丹のほかに、春の牡丹も有名。入山有料。
(梶川伸)2020.01.15

更新日時 2020/01/15


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