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編集長のズボラ料理(382) オクラと豚コマの炒めもの

オクラはもう少し多い方がよかった

 高血圧の薬をもらうために、1カ月半か2カ月に1回、自宅から3分の医者に行く。母子でやっていて、息子の方が僕の担当になっている。
 息子先生は京都市の中心部に住み、京都府最南端の市の母親に医院に通う。僕が小さな花壇で花の手入れをしている時に、よく前を通ることがある。軽くあいさつをして、1時間後に医院に行って、本格的に話をする。
 といっても、大した話ではない。血圧を測った後、診察を受けながら、京都の街中の昼ご飯の店を教えてもらったり、こちらが奈良の店を教えたり。聴診器で聞きながらのこともあるので、ちゃんとし聞こえているのか、心配になることもある。もちろん、心臓の音である。いや、食べ物の話の方かな。
 そうなると、何のために医院にいっているのか、疑問がわいてくる。それなら、医院に向かう途中でうちに寄ってくれ、お茶かビールでも飲みながら話した方がいいのではないか。血圧計もあるし。
 前回行ったのは、9月30日だった。待ち合い室は患者でいっぱいだった。消費税が10%に上がる前日だったからかもしれない。
 待ち時間は長かったから、置いてある雑誌「オレンジページ」3冊も目を通してしまった。
 名前を呼ばれて診察室に入ると、息子先生はいつになくてきぱきしている。患者が多いので、早くさばく必要があったのだ。ノンビリと話をする雰囲気ではなく、前回の診察後に行った青森県の蔦温泉の話をしたくらいだっった。
 息子先生は「よしだたくろうの『旅の宿』のモデルで、生きたかった温泉」と言い、僕は「高知県出身の文筆家、大町桂月の資料室が宿にある」と語り、息子先生が「奥入瀬を有名にした人」と返したくらい。
 あえて付け加えるなら、「酸ヶ湯は行きましたか」「立ち寄りで入浴しただけ」「どうでしたか」「天井の高い木造の建物」などと、5つほどの温泉の話を手短かにしただけ。
 帰宅すると、娘が遊びに来るという。急なので考えるひまがなく、オレンジページに載っていたおかずも作ることにした。 
 オクラはへたを切り取り、塩ゆでにする。豚の切り落とし(こま切れ)を、フライパンに油をひいて、カリカリになるくらまで炒める。だしの素、砂糖、しょう油で味付け。最後にゆでたオクラを加えて、軽く炒める。
 考えずに一品ができてよかった。医院が混んでいるのも、時にはいいもんだ。(梶川伸)2019.11.10

更新日時 2019/11/10


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