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寺の花ものがたり(223) 真如堂(京都府左京区)酔芙蓉=9月中旬~10月上旬

2018年9月23日撮影

 真如堂はブラリと行ってみたくなる寺だと思う。京都市の中心部からそれほど遠くはないが、広々とした静かな境内を持っている。南から行けば、金戒光明寺を通っていく。次第に街中の音から離れていくアクセスもいい。
 境内は無料だから、気楽に参拝できる。いつも花が目に優しい。前々回は萩を紹介したが、今回は酔芙蓉(すいふよう)。
 山門から入っていくと、酔芙蓉の参道になっている。緑の葉が茂った中に、花が咲く。数が多いわけでゃないが、拝啓に石灯籠にが入り込み、寺の花らしい風情となる。
 酔芙蓉は朝白く咲き、次第にピンクの色が差してきて、夕方にはその濃さをましてしぼむ。翌日は赤い塊となって落ちていく。
 一日花で、そのはかなさが寺にはふさわしい。一方で、杯を口に運ぶうちに、ほおが赤く染まっていくイメージの艶やかさがあり、それが謹厳は寺とは対照的で、それも寺の花の魅力だろう。真如堂でもそうで、紅葉の時までのつなぎ役の貴重な花になっている。

◇真如堂(しんにょどう)◇
 正式には真正極楽寺(しんしょうごくらくじ)。京都市左京区浄土寺真如町82。京都市バス真如堂前・錦林車庫前下車、徒歩10分。075-771-0915。戒算上人が984年、延暦寺・常行堂に安置された阿弥陀如来を移して開創。応仁の乱の後、各地を転々とし1693年に現在地に。境内は自由だが、建物内の拝観は有料。本堂の裏の紅葉のゾーンは自由。
(梶川伸)=状況が変わっている可能性もありますので、ご了承ください2019.09.07


更新日時 2019/09/07


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