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寺の花ものがたり(217) 秋篠寺(奈良市)苔=6月

2019年6月15日撮影

苔(こけ)に旬の時期があるのかどうかは知らない。ただ、少し雨に濡れた苔はシットリとして、ちょっと見に行ってみようかという気になる。だから、梅雨の時期がふさわしいと思う。
 そこで、伎芸天(ぎげいてん)が人気の秋篠寺へ出かけた。とはいっても、歩いて1時間弱の場所だから、思い立てば気楽に行ける。ただし、雨が降りそうだったので、ミニバイクでサッと行ってきた。水を含んだ方がいい、と言っておきながら、矛盾するようではあるが。
 秋篠寺に行くのは、近いとという以外に、もう1つ理由がある。苔の庭は、山門をくぐってから、境内に入る料金所までの間にある。だから、無料なのだ。
 参道の両側は苔が一面に生えている。緑のビロードのような庭。杉苔もあるが一部分なので、柔らかな表面が庭一杯に広がる。
 緑の中に木立があり、木の根も見える。小さな石塔もある。苔庭が単調にならないように、これらがアクセントという役割を果たしている。この紐伎芸天を水に、柔らかな緑を眺めるだけで、またミニバイクに乗った。帰宅して間もなく、雨が落ちてきた。

◇秋篠寺(あきしのでら)◇
 奈良市秋篠町757。近鉄西大寺駅から西に1.2キロ。074-245-4600。拝観有料。奈良時代末、光仁天皇の勅願による開基と伝えられる。本尊は薬師如来(重文)。伎芸天は重文で、芸能の守護神として信仰を集めている。ほかに帝釈天、日光菩薩・月光菩薩、地蔵菩薩などが重文。
(梶川伸)2019.06.19

更新日時 2019/06/19


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