寺の花ものがたり(216) 焼山寺(徳島県神山町)紫陽花=6月中旬~下旬
四国霊場12番・焼山寺は標高900メートルの焼山寺山の8合目あたりにある。11番・藤井寺の境内から登っていく遍路道は難所の1つで、「遍路ころがし」の異名を持つ。
登って下り、登って下って、最後にまた登る。登りだけを足していくと、1200メートルほどを登ることになる。体力のない私はいつもヘトヘトになる。この紫陽花(あじさい)の写真を撮った時もそうだった。
先達として8人を案内した。まず、藤井寺の手前のコンビニでおにぎり2個と竹輪を買った。山を歩く時は、持ち運ぶのに便利なおにぎりがいい。途中の休憩所で昼食をとり、みんな年齢が高いので何度も休みながら、6時間20分かけて焼山寺にたどりついた。
登りきったところにある湧き水を、ひしゃくに何杯も飲んだ。一息入れて本堂へ。汗だくの私たちを、紫陽花が迎えてくれた。涼やかでホッとする。
紫色の花もあるが、青色が涼しいい感じを与える。特に水色に近い青にホッする。年齢の高いメンバーばかりなので、無事登った安堵感も加わっていたからだろう。
この回を最後に、遍路ころがしを案内して歩くのはやめた。何かトラブルがあった時に、対応する能力がなくなった、と感じたからだった。その意味でも、思い出に残る紫陽花だった。
◇焼山寺(しょうさんじ)◇
徳島県名西郡神山町下分字中318。JR徳島駅から徳島バスで1時間10、寄居中下車。神山町営バスに乗り換え15分、焼山寺下車。徒歩1時間半。0877-56-5688。平安時代の弘仁年間に空海が開基したと伝えられる。本尊は虚空蔵菩薩。
(梶川伸)=状況が変わっている可能性もありますので、ご了承ください2019.06.10
更新日時 2019/06/10