寺の花ものがたり(206) 法安寺(愛媛県小松市)牡丹=4月下旬~5月初め
四国遍路の途中、時々寄り道をする。法安寺もそうで、牡丹(ぼたん)に時期だったので、寄ってみた。
「千本ぼたん」の寺として知られる事前に寺に聞いてみると、「もう散っている」と素っ気なかったが、行ってみてよかった。十分、花が残っていた。
狭い境内いっぱいに、牡丹が植えてある。花は終わりかけていたが、何十本もの株が花を残していた。色もさまざまで、菖蒲(あやめ)も咲いていた。
花には和傘がかけてある。ビニールの傘も、骨が折れたような傘も。こおあたりが、観光寺院ではないいいところかもしれない。和傘はあしらいで差しかけ足りなくなったので、ビニールの安物の傘を使ったと想像した。ところが、帰り際に住職の話を聞いて、恥ずかしくなった。
傘は、花を長持ちさせるためのものだという。太陽に当たると弱るのが早く、風から守るためにも必要らしい。きっと牡丹を愛し、参拝客に楽しんでもらおうという思いが、傘の裏に隠れていた。
「ここの牡丹は原種で、気温が18度以上にならんと、咲かん」と住職。その年(2013年)のボタンは早かったらしい。1番花は3月30日で、平年よりも5日から1週間は早かったそうだ。しかし、花はよく持ったという。ただ、4月に入って、風の強い日が多く、苦労したとか。その年は梅と桜が同じ時期に咲いたということも教えてもらった。
◇法安寺(ほうあんじ)◇
愛媛県西条市小松町北川長丁157、0898-72-2836。711年の開創とされる。戦国時1952代に焼かれ、江戸時代に小松藩の医師、徳永寿三がお堂を建て、永寿庵とよんでいた。1952年に現在の名前に。 本尊は薬師如来。牡丹の開花時は優良。
(梶川伸)=状況が変わっている可能性もありますので、ご了承ください2019.04.22
更新日時 2019/04/22