寺の花ものがたり(205) 仁和寺(京都市右京区)の小葉三葉躑躅=4月中旬
仁和寺の春の象徴は、御室桜だろう。背が低く、密集した桜を求めて、たくさんの参拝客でにぎわう。
遅咲きの桜でも知られる。そのために小葉三葉躑躅(こばのみつばつつじ)の時期に重なる。
字の通りの花。弱い緑の小さな葉が3枚つく。その風情が優しくえ柔らかい。花のピンクもほんのりした色を見せる。花びらも薄く、日が当たると透き通ったような色合いで、小葉にはこれしかない組み合わせだと思う。
多くの花の名前は、漢字表記の方が雰囲気があるが、この花の漢字はあまりにも直接的で、しかも固い印象を与える。だから、ひらがなやカタカナのほうが、花のイメージに合っているのではないか。
境内のこばのみつばつつじは、御室桜ほどではないが、結構な数がある。1カ所にまとまっているのではなく、点在している。すぐそばで見ることができるので、親しみを感じることができる。木につく花の数は多く、時期が良ければ、淡いピンクのタペストリーの間を散策している気になる。
◇仁和寺(にんなじ)◇
京都市右京区御室大内33。京福電鉄御室仁和寺駅から徒歩3分。075-461-1155。本尊は阿弥陀如来。開基は宇多天皇。「古都京都の文化財」として、世界遺産に登録されている。拝観有料。桜も別料金で、コバノミツバツツジもその区域にある。。
(梶川伸)=状況が変わっている可能性もありますので、ご了承ください。2019.04.14
更新日時 2019/04/14