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寺の花ものがたり(198) 千本釈迦堂(京都市)阿亀桜=3月下旬~4月上旬

2018年3月31日撮影

 ふくよかな顔のおかめのキャラクターは、この寺にまわる阿亀(おかめ)の伝承がもとになっている。
 おかめは本堂の建築で棟梁を務めた長井飛騨守高次の妻。高次が重要な柱の寸法を間違えて短く切り過ぎた際、枡組で補えば良いと助言して、窮地を救った。しかし、「専門家でもない女性の知恵で棟梁が大仕事を成し遂げたと言われては夫の恥」と、上棟式を迎える前に自害したという。境内には、おかめ塚があり、夫婦円満や子授けにご利益があるとされる。
 境内はそれほど広くない。本堂の前に大きな枝垂れ桜がある。おかめの伝承にちなみ、阿亀桜と名づけられている。8メートルほどの高さで、細い枝は地面まで下がっている。
 花は白に近い。訪ねた時は、盛りを少し過ぎていた。花のすだれ越しに阿亀の像を見る。不動堂の前には八重の椿。小さな山門には桜が咲いていた。

◇千本釈迦堂(せんぼんしゃかどう)◇
 正式には大報恩寺。京都市上京区 七本松通今出川上ル。JR京都駅から京都市バス「50」(立命館大学前行き)上七軒下車、徒歩5分。075-461-5973。1221年に義空が創建。本堂は1227年の建立で、幾多の戦禍を免れて、当時のまま残り、国宝に指定されている。本尊は釈迦如来。12月の風物詩となっている大根炊きでも知られる。
(梶川伸)=状況が変わっている可能性もありますので、ご了承ください2019.03.10

更新日時 2019/03/10


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