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心にしみる一言(181) 地図はわざと簡略にした。初めて行った時の感動を伝えたい。迷って、聞き込みをした見つけた喜びを。

讃岐うどんのブームは続いている

◇一言◇
 地図はわざと簡略にした。初めて行った時の感動を伝えたいので。迷って、聞き込みをした見つけた喜びを。

◇本文◇
 讃岐うどんのブームは、相変わらず続いている。そのブームのきっかけの1つを作ったのは、香川県のタウン誌の讃岐うどん店を紹介する連載記事だった。その編集長で、その後は大学教授になった田尾和俊さんに、話を聞いたことがある。2003年のことだった。
 香川にはうどん屋さんがたくさんある。約800軒といわれている。小さな店が多く、看板がなかったり、非常に分かりにくい場所に店開きしている店も少なくはない。
 田尾さんはそんな取材のしにくさを、逆手にとった。「怪しい」と「楽しい」を店選びの基準とし、取材したのは探し出すのが難しい店がほとんどで、有名店や観光地の店はなるべく避けた。取材や編集の原則の1つが、取り上げた言葉だった。
 店を探す喜びを、読者にも味わってもらいたい、という思いからだった。毎日新聞でも食べ物やさんの紹介記事はある。しかし、田尾さんのタウン誌での記事の作り方は、全国紙とは全く逆の発想によるものだった。
 「写真は載せるな。先入観念が入る。(取材で苦労した)自分たちと同じ目に合わせてやる。基本的な紹介はやめる。ドキドキした自分たちの思いを伝える。本文が短くては無理。どんな情報が入ってきたかから書く」。これも原則にしたという。(梶川伸)2019.02.10

更新日時 2019/02/10


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